成長意欲が出世につながっているようにみえる会社がありました。渋谷にあるネット系のベンチャー企業です。社員総会で、営業成績がよい社員が表彰されたときのコメントで
「自分はもっと成長したい。来年は1.5倍の売り上げを達成したいと思います」
と高い成長意欲をアピールすると、会場から大きな拍手が起こりました。おそらく同じように成長意欲が高い社員たちが同調したのでしょう。
ちなみに表彰された社員は同期トップ昇進で、マネジャー職になるとのこと。営業成績に加えて、高い成長意欲が評価されてのことのようです。
おそらく、職場では日頃から成長意欲のアピール合戦がされているのでしょう。ただ、こうした状況を冷めた気持ちで眺めていた人物がいました。大手商社から転職してきたSさん。経営企画で投資事業の責任者をしていますが、
「前のめり感をアピールする職場の雰囲気には、慣れることができません。成長意欲のアピールなど不要。すべて仕事の成果だけで評価すればいいのではないでしょうか?」
と本音を語ってくれました。このベンチャー企業では成長意欲の高さが出世の近道でもあるようですが、それは必ずしも世間の常識ではないと言いたいのかもしれません。
意欲より、ずっと重視されること
実際、多くの現場で働く上司たちは、成長意欲をそこまで高く評価してはいないようです。それを象徴するアンケートをひとつ紹介します。R25が課長以上の役職者に「昇進させたい部下の特徴」を尋ねたところ、成長意欲の高さは第8位。上位と呼ぶには微妙な順位です。ちなみに上位1~3位は
・優れた思考力・洞察力を持っている
・同僚や後輩から人望がある
気持ちよりも、能力や人間力を重視しているのです。経営者の語るHPから読み解く重要性とはズレがあります。事実、冒頭に登場した成長意欲の高さを重視する経営者の会社で人事部に取材してみると、
「管理職の登用で、成長意欲の高さは重視していません」
と語ってくれました。あくまで評価をするのは直属の上司や人事部。自分で成長意欲の高さをアピールすることが、必ずしも効果的とは言い切れないようです。とすれば、社長の語るメッセージなど重視しなくてもいいということなのでしょうか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら