自然界の不思議が研究のヒントになる--『光触媒が未来をつくる』を書いた藤嶋昭氏(東京理科大学学長)に聞く

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──医療用にも。

インフルエンザウイルスなどウイルスや病原菌にも効果がある。空気中に漂うウイルスを、相手を選ぶことなく捕らえて分解除去できる光触媒空気清浄機は、大いに注目されていくだろう。千歳空港の出発ロビーにずらっと空気清浄機が並んでいるが、あれもインフルエンザ対策。

──農業での活用は。

排水を出さない循環方式の水耕栽培で、光触媒の処理槽を作り、水中の雑菌を取り除いたり、生育の邪魔をする物質を酸化分解する。また、農業廃液処理の研究も進んでいる。

──東京理科大の野田キャンパスに光触媒研究センターを作るそうですね。

1年後を目指している。そこでは主として農業への応用を考えたい。植物工場を造り、当然ながら光触媒で循環型の水処理をする。手掛けるのは付加価値の高い作物。たとえば薬草など。漢方薬の原料となる希少価値のある薬草を光触媒の植物工場の中で作っていきたい。

──一時話題になった自動車のボディコーティングは。

薄膜コーティングがそれほど普及していないのは、手間がかかるからだ。簡単にできるように工夫できればいいのだが。自動車車体は軽量化でますます有機系の高分子へ移っていきそうだ。無機系の光触媒とうまくなじませて、汚れず、曇らない利点が発揮できればと狙っている。

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