誰がトクするのか?→ 誰もトクしない!? 「関税戦争」の先に待つアメリカと中国の"悲惨な近未来"

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とりわけ大きな影響が生じるのは米中貿易だ。2025年2月以降、トランプ政権は中国製品に対する関税を段階的に引き上げ、関税率は4月には最大で145%に達した。 他方、中国はアメリカからの輸入品に対して最大125%の報復関税を課した。

高関税のかけ合いで、中国とアメリカの貿易はほぼ停止状態に陥ってしまうと思われる。これは、両国に多大な損害を与えるだろう。

スコット・ベッセント財務長官は「現在の状況は持続可能ではない」と述べた。また、トランプ大統領も、中国に対する関税が緩和される可能性について言及し始めた。したがって、今後、関税率は引き下げられる可能性がある。

しかし、以下で述べるように、第1次政権時の米中関税戦争によって、両国において深刻な問題が発生した。これを考えると、仮に今後緩和が行われるとしても、米中両国において深刻な問題が発生することは避けられないだろう。

中国では輸出企業の生産縮小と失業

アメリカは、家具、家電、衣料品、電子部品など、多くの消費財や部品を中国から輸入している。関税によってこれらの販売価格が上昇し、インフレが加速する。その負担は、とくに低所得層に重くかかる。

他方、中国は輸出主導型の経済であり、アメリカは大口の輸出先だ。輸出企業の生産縮小や閉鎖が進み、沿岸部の製造業中心に失業が拡大し、社会不安の原因になる。また、外資系企業はベトナムやインドなど「チャイナ・プラスワン」への分散を進めるだろう。

とりわけ影響が大きいのは、次の産業だ。

① おもちゃ産業
② 家具産業
③ 衣服(繊維・縫製業)
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