地方の進学校から東京の私大を受験、娘の夢を叶えるために奔走した母親の回顧。現役合格を目指して22回受験、SNSに不安を吐露

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一方で、3年生になったマユミさんの偏差値は安定せず、判定に使う志望大学欄にはさまざまな偏差値帯のところを入れたが、目指している大学はどれも合格にはかなり遠いという結果となっていた。こうして迎えた3年生最初の三者面談、担任からは(この成績では)「どこも受かりませんよ」とまで言われてしまった。

一般入試は使う科目も考えながら出願方式を選ぶ必要がある。マユミさんの場合、数学は化学ほどの苦手意識はなかった。また、慶応の経済学部は数学を使う方式ならば、苦手な日本史も使わずに受けられる。もしかするといけるかもという淡い期待があった。ここが勝負になるかもしれない。

母と娘は相談し、高校3年生の6月、通信教育のZ会に入会した。そして、夏休みは祖父母の家から東京の予備校に通うことを決めた。

「学校の先生からは、『東京の予備校に行くなんて、そんな人いません!』と言われましたけど、本人の希望もあったので」と母親。確かにこれは希なケースだろう。恐らく、マユミさんも祖父母の家が首都圏になければできなかったことだと思う。

マユミさんは河合塾と駿台予備校の夏期講習会を組み合わせて通い、ライバルたちに揉まれながら勝負の夏を過ごした。こうして2学期を迎えて数日後、母親は娘から衝撃の報告を受けることになる。

勝手に断っていた指定校推薦

「お母さん、先生が『指定校推薦どうだ?』って聞いてきたけど、私の行きたい学部じゃないし、断っといたから」

聞けば、同校では国公立志望者が大半のため、MARCHレベルの学校の指定校推薦枠がごろごろと余っているという。提案されたのは中央大学の文学部、立教大学の文学部など。

もちろん、大学受験は本人がするものだから、本人が決めればいいことなのだが、親に一言の相談もなく娘は勝手に断っていた。だが推薦を勧める担任も「現実を見てくれ」と引き下がらない。

「私立を志望する人は基本、推薦で決める予定なので、一般入試で私大受験をするのはマユミさんだけです。指定校推薦で手を打ちませんか?」

ここまで言われても娘の気持ちは動かなかった。

「私、一般入試でやりたいです」(マユミさん)

そこまで聞いて、母親は覚悟を決めた。

「娘の意見を尊重します」

こう担任に告げると、母親は娘と一緒に戦うことを決めた。

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