地方の進学校から東京の私大を受験、娘の夢を叶えるために奔走した母親の回顧。現役合格を目指して22回受験、SNSに不安を吐露

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高校入学後、マユミさんが母方の実家を訪れると、地域トップの進学校に入学したことを喜んでくれた祖父が東京大学の見学に連れていってくれた。高校1年生はいくらでも夢を見ることができる年齢だ。慶應義塾大学出身の祖父は、日本トップの最高学府を孫に見せてやりたいという思いもあったのだろう。実際にキャンパスを訪れることで、大学に通うイメージも湧きやすくなる。

「ここが東大かぁ」

祖父に連れられてきたとはいえ、マユミさんはまんざらでもない様子を見せていた。

マユミさんの場合は祖父母の存在があって早くから都内の大学を見ることができたが、ゆかりがない地方在住者が東京の大学を見に来るのは、それだけでもかなり負担が大きい。だからこそ東京に憧れる、というのもあるだろうが、首都圏在住者と地方在住者との差はこんなところにも出てしまう。

だが、祖父との楽しいキャンパス見学を終え、北海道に戻ったマユミさんは“赤門”が夢のまた夢だという現実を知っていくことになる。

大手模試会社が行う模擬試験の結果は芳しいものではなかった。特に化学と日本史で得点が伸びず、これらは偏差値40台前半ということもあった。

この状況に母親が気づいたのは、高校2年生の頃。仕事が忙しいということもあったが、地域トップの進学校に入ったのだから、大学受験は本人が考えるだろうし、本人に任せておけばなんとかなるのだろうと思っていた。

そのため、高校1年生の頃に模試の成績表をしっかりと見たことはなく、さほど口を出さずにきた。だが進路選択を前に娘から見せられた成績に、「これはまずいかもしれない」と思い始めた。

学校では国公立向けの指導ばかり

苦手科目はあるものの、国語の成績はかなりよく、高いときで偏差値70を取っていた。国語が押し上げているためか、文系科目だけなら平均偏差値は60ほど。成績を見た母親は、娘に苦手な理科の科目を捨てられる“私立専願”を勧めてみた。娘も「私立に絞りたい」というので、担任との三者面談でもその都度「うちは私立専願で」と伝えていった。

高校2年生の夏休み、再び祖父母の家に滞在しながら東京の私立大学のオープンキャンパスに参加した。気に入ったのは、祖父の母校でもある慶應義塾大学、中でも経済学部の学びに興味を持った。マユミさんの目指す大手食品メーカーへの就職者も多く、第1志望は「ここにしよう!」と決めた。しかし、目標は決まったものの学校では適切な対策は受けられなかった。

「塾に通うことはお勧めしません」と言うだけのことはあり、確かに学校では大学入試に向けての対策講座なども頻繁に行われた。しかし、国公立志望者向けの内容が多く、マユミさんの進路希望に合うものではなかった。学年全体に向けての指導も、やはり国公立大学に的を絞った話がされるばかり。

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