《東京から消滅》一世を風靡した"歌うアイス屋"「コールド・ストーン」がまもなく残り1店舗に。最盛期は34店舗も、なぜ人気は定着せず?
やや混雑していた店内では並び始めてからアイスを受け取るまで約45分。アイスの価格は850円。価格帯はコールド・ストーンと同程度である。
アイス液は着色料や香料がかなり感じられ、トッピング等も既製品が多い。薄くロール状になったアイスは独自の食感で美味しいが、筆者の個人的な好みだが正直に言うと純粋に味の面ではコールド・ストーンに軍配が上がる。
ロールアイスも創業から8年。全盛期は7時間の行列になることもあったというが、やはりブームは鎮火しつつある。なのに、いまだに展開を続けていられるのは何故か。実はロールアイスはアニメなどのコラボに力を入れている。
筆者が訪れた際も「ヒプノシスマイク」とのコラボキャンペーンを行っていた。これまでも「呪術廻線」や「進撃の巨人」、「ウマ娘」や「アイドルマスター」などビッグタイトルとのコラボ実績がある。
さらに抜け目ないのは、運営会社トレンドファクトリーのHPにあるオンラインショップをのぞくとコラボグッズがずらりと並ぶ。同ブランドは単なるアイス屋ではなくキャラクターグッズの物販も手掛けており、昨今盛り上がる「推し活」ニーズをとらえたIP事業を行っているのだ。

ロールアイスというコンテンツ自体に飽きがきても、常に何かしらのイベントを打ち出すことで話題を提供し続けており、これが同ブランドが続く要因になっているのだろう。
飲食店に行かなくなる理由は「店の存在を忘れること」
お客がある飲食店に行かなくなる理由は、その店に不満を持ったからよりも、「その店の存在を忘れてしまったから」が圧倒的に多いと言われている。
そうしたことを踏まえ、例えば「肉汁餃子のダンダダン」もアニメやマンガとのコラボに積極的だ。「串カツ田中」も、過去には居酒屋の中で先陣を切って禁煙を打ち出すなど、常に何かしらのインパクトある施策やイベントを企画し続けている。

どんなに魅力的な業態でも、時間が経てばどうしても陳腐化してしまうし、類似業態の競合も出てくる。だからこそ外食企業は消費者に忘れられないための努力を続けている。
コールド・ストーンはこうしたコラボやキャンペーンをやっていないわけではないが、近年、その頻度は減っており、消費者に大きなインパクトを残せていなかったのかもしれない。
そんな中、「1店舗を残して国内はすべて閉店」という“大きなイベント”を打ち出したところ、長蛇の列となってしまった。それよりも前に人々に思い出されるイベントを提供できればよかったのだが……。
アイスの味は美味しいので、また身近な店舗で味わえる日が来ることを願っている。
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