《東京から消滅》一世を風靡した"歌うアイス屋"「コールド・ストーン」がまもなく残り1店舗に。最盛期は34店舗も、なぜ人気は定着せず?
「歌うアイス屋」は健在だ。注文を終え、指定した具材を石の上へと置くと、混ぜ手のスタッフがヘラをカンカンと打ち鳴らしたのを合図に、店にいるスタッフ全員が手拍子を交えて歌ってくれた。

同店はパフォーマンスだけでなく味にもこだわっている。店内で生乳からアイスクリームの製造を行っているそうで、つくりたての美味しさが身上だ。
イチゴやバナナなどのフルーツやふわっとしたスポンジ生地、サクサクのワッフルコーンなど様々な食感の具材が混ざり合っており、一口ごとに表情が変わり最後まで美味しく食べられた。
閉店の理由は「歌が恥ずかしいから」?
コールド・ストーンはアメリカ・アリゾナ州で1988年に創業。日本上陸を手掛けたのは、ファミリーマートやファーストリテイリングの経営に携わり、「クリスピー・クリーム・ドーナツ」の日本上陸も手掛けた澤田貴司氏の投資ファンドのキアコン(現リヴァンプ)だ。
2014年には「銀だこ」などを展開するホットランドが買収。その目的は、同社が展開するたい焼き店「銀のあん」の季節偏重を補うため。たい焼きという商品の特性上、どうしても夏期に売上が落ちるので夏によく売れるアイスクリームでその補完をしたい狙いだった。
同社が得意とするショッピングモールを中心に店舗を展開していたが、この度、1店舗を残して撤退に。ホットランドはその理由を「非公開」としている。
ネット上では撤退の理由について様々な意見が出ている。特に多いのが「恥ずかしがり屋の日本人に歌のパフォーマンスがなじまない」ということだ。
筆者が訪れた際、スタッフは1人で来ているお客には「歌ってもよろしいですか?」と聞くなど、状況に応じたサービスを行っていた。お客が拒否すれば歌をキャンセルすることもできる。ただ、それはそれで少し気まずい。人手不足の昨今、歌うことに抵抗がないスタッフを採用するのも難儀しそうだ。
それ以外にも「派手なパフォーマンスに飽きた」という声も多い。それも正しいだろう。しかし、派手なパフォーマンスでブームを巻き起こしても、その後も長く息の続いているブランドもある。
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