「全ての権利が当社にある」「イヤガラセを受けようとも受けて立つ」と発言…八代亜紀さん《ヌード写真付きCD》を“強行発売”した社長の危うさ

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その言葉が「アーティストを人間ではなく商品としか考えない」という人権軽視の前時代的なスタンスであることを理解していないのでしょう。

それを堂々と話してしまうところにガバナンス不全や相談相手不在の状況が透けて見えますし、ビジネスパーソンにとっては「時代の変化に合わせてアップデートできない経営者の典型例」に見えたのではないでしょうか。

“第2弾”、“第3弾”をどう防ぐか

また、「まさか僕も(プライベート写真を)使うと思ってませんでした」「こっちの“刀”ですよね。まさか抜くときが来るとは思っていませんでした」「あの世で会ったときに『亜紀、怒らないでくれよな』『お前をこういう争いの道具に使っちゃってごめんな』って気持ちは思ってます」とも語っていました。

これは生前の八代さんと親交が深かったことを伝えようとした自己擁護でしょうが、まったくフォローになっていません。「自分の言動を肯定するために話せば話すほど印象が悪化し、信頼を失っていく」という失敗パターンであり、もしこれが記者会見であれば取り返しがつかないほど徹底的に糾弾されていたでしょう。

同社インスタグラムの投稿にも、「こんな悪質な者達によって商品の発売中止などは行いません」「どこのどなたのイヤガラセを受けようとも受けて立つ所存」「問題の写真類一式を買い取って頂ければお譲りする方針」などと、けんか腰のようなフレーズがありました。

批判があがるほど強硬になり、言動が物騒になっていく。もちろん不安もあるから自己擁護もするが、かえって火に油を注いでしまう。瞬く間に四面楚歌の状況になっていた……。

程度の差こそあれ、この社長が特別ではなく、各企業のさまざまな部署でもこのようなケースに陥る可能性はあるでしょう。とりわけ孤立しやすい管理職は「攻撃を受けた」と思っても感情的に反撃するのではなく、「この火を消すために何が一番効果的か」を考える冷静さが問われています。

ニューセンチュリーレコード
ニューセンチュリーレコードの社長は、SNSにも感情的な文章を投稿(画像:同社公式Instagramより)
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