《ブームから10年》「一流シェフの料理を立食で安く食べる」で一世を風靡した「俺のフレンチ」。最新店舗を訪れて知った意外すぎる"現在の姿"

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 会社の宴会のようなシーンでは、店選びでは数多くいる参加者の最大公約数を取る必要がある。一部の人だけに刺さるような尖った店は選べない。

同店は、難しい料理や奇をてらったモノはなく、大多数の人に平たく喜ばれそうだ。平均点を取るには十分で会社の宴会の店にはうってつけ。ワインや肉料理は、女性の多い部署なんかで喜ばれそうだ。 

メニューにはガッツリ肉料理が並ぶ。写真を見る限りボリュームがありそうで2名で訪れた筆者たちは注文を見送ったが、大人数なら楽しめそう(筆者撮影) 

プロダクトアウト型だった「俺の」が、マーケットイン型に変容 

「俺のフレンチ GRILL&WINE」は、かつての「俺の」とは真逆の店になっていた。かつての「俺の」は、それまでの飲食業界にないビジネスモデルで一世を風靡した。高級レストランの料理を立ち食いでリーズナブルに――という、トレンドに敏感な人たちがわざわざ行く“体験型”レストランとして人気を博した。 

まさに「“俺の”料理を食え!」というプロダクトアウトな店が、今は「会社の飲み会」に便利な、ニーズ対応型の機能性の高い店づくり、マーケットイン型に変容していた。尖りをなくして最大公約数を取りに行く「俺の」。他の既存店を見てみても、同様の店舗が多く、「俺の」はかつての方針とは異なる方向へ舵を切ったようだ。 

実は、筆者もこの店に行くまでの計画段階で苦労した。写真で客席のつくりや料理のポーションを見るに明らかに一人で行く店ではなさそうなので同行者を探したが、なかなか見つからなかった。 

なぜか――もちろん筆者の個人的事情もあるのだが、いま消費者は二極化しており、外食に対して「いいものには積極的にお金を使いたい」層と、「なるべく安く済ませるコスパ重視層」の二つに分かれているのも関係あると考える。 

前者は、たとえ1万円以上するような店でも相応の価値があるなら積極的に興味を持つし、後者は、多少料理や接客がいまいちであっても安さに勝ることはないと考えている。「新時代」や「とりいちず」のような単価2000円の激安居酒屋が増えているのはこの層から支持を得ているからだ。 

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