「やっぱり生涯現役がいい」、引退宣言を3日で撤回した《87歳のバッグ職人》。娘は「仕事を取り上げたらあかん」と実感するが葛藤の日々

「もう無理や…」急に弱音を吐いた父
2020年、82歳で「G3sewing」をスタートして以来、大病を抱えながらも一心不乱に「がま口バッグ」を作り続けてきた斉藤勝さん。一人でも多くのお客さんに商品を届けようと、ひと月に100個など目標数を決め、精力的に製作を続けてきた。
ところが、4年が経った2024年の9月。斉藤さんは、「G3sewing」の代表でもある、三女の千里さんにこう打ち明けた。
「体もしんどくなってきたし、メインでやっていくのはもう無理や。急に明日から作れないってなったら、お前も困るやろ。だから、今まだやれるうちに言っておきたかったんや」
引退をほのめかす発言に、千里さんは「自分からしんどい、無理やと言わない父が初めて弱音を漏らしたので、これは相当なことやと思いました」と述懐する。
とはいえ、いきなりすべての仕事から撤退するのは、がま口バッグ作りを生きがいとしている斉藤さんの生きる気力を奪いかねない。さらには、“斉藤さんが作る”商品に価値を感じて購入してくれるお客さんがいることを考えると、突然の引退は存続の危機につながる可能性もある。

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