絶好調で出店加速の「かつやの姉妹豚汁店」。実は「かつやと同じ肉」を使っていない、あえてスケールメリットを狙わない”深い理由”

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その対策としてごちとんは2024年11月からLINEを導入、再来店を促す施策はもちろん、ブランド価値向上につながるさまざまな情報発信を模索しているところだ。 

店を訪れた際にLINE登録すると、150円引きクーポンがすぐに贈られ当日使えた(筆者撮影) 
2.汁物テイクアウトの壁 

テイクアウトが少ないことも課題の1つだ。ごちとんの店舗は平均15坪、客席は20~30席程度と少ない。そのため、テイクアウト比率を増やして売り上げ効率をあげたい。 

けれど、テイクアウトは売り上げ構成比の8%程度と、からやま、かつやの40%に対してかなり低いのだ。その要因は、「汁物を持って帰る」ことに対するネガティブなイメージにある。蓋は外れにくく、容器ごとレンジで温められる便利な形になっているのだが、「こぼれそう」というイメージを払拭できないのだ。 

テーブルに置かれていたテイクアウトメニュー。容器代が付加されず、イートインと同じ価格設定なのはうれしい(筆者撮影) 

それでも、オフィス立地に関しては比較的売れるそうで、大阪梅田の店舗は売り上げ構成比の約15%と、平均の倍売れている。近場のオフィスまで持ち帰る客が多いからかもしれない。 

campの知見を活かしたごちとん、カレーに回帰?

ごちとんはその対策の1つとして、豚汁を利用したカレーを開発した。イメージしたのは、「2日目のカレー」。カレーは、つくった翌日に野菜が溶け込んで1日目よりおいしくなる。これと同じ考え方で、豚汁をカレーにしたのだ。 

豚汁には味噌も入っているためコクがあり、味噌や根菜の香りもプラスになる。試作を重ねて納得のいく「豚汁カレー」ができたそうで、2025年4月16日から発売を予定している。結果はまだ分からないが、フードロス改善にもつながるいいアイデアではないだろうか。 

4月16日から発売される新メニュー、豚汁カレー(写真提供:アークランドサービスホールディングス(株)) 
3.材料高騰の壁 

材料高騰の壁も巨大だ。さまざまな材料価格が上昇する中、ごちとんの定食価格は790~990円に据え置かれたままだ。原価率は明らかに上昇しているにもかかわらず、値上げを『我慢している』と中島社長は苦渋の表情を見せる。 

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