絶好調で出店加速の「かつやの姉妹豚汁店」。実は「かつやと同じ肉」を使っていない、あえてスケールメリットを狙わない”深い理由”

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ごちとんの豚肉はかつやと同じく北米産だが、卸売会社は別のところを使っている。野菜も関西と関東、それぞれに地域の八百屋と契約して仕入れている。そして、これはごちとんだけでなくアークランドサービスホールディングスの他ブランドも共通で、基本、仕入れはブランドごとに行っているという。  

「グループ内でブランドを同質化させないことを重要視しています。スケールメリットを追求していくと、どうしても似たような商品になってきてしまうからです」(以下、「」内はすべて中島社長)。  

カフェのような雰囲気が漂う、池袋西口店の店内(写真提供:アークランドサービスホールディングス(株)) 

消費者は経済合理性をよく見ているもの。だから、『これは企業がコストを下げるためにやっているんだな』と、手抜きや打算を感じさせる要因を作らないよう注意しているのだ。 

「グループの方向性やメリットよりも、まずはお客様の支持を集め、繁盛するブランドをしっかり作る。そのためには、しがらみを少なくし、フレキシブルに動けるほうがいい」と強調する。  

それに加えて、仕入れを1カ所に絞ることには、政治面や気候面でのリスクもある。そのリスクをとってまで、現時点ではまだ8店舗しかないごちとんがスケールメリットを追求する必要があるのか——答えは「NO」だった。 

調理する様子が客席から眺められるオープンキッチン(写真提供:アークランドサービスホールディングス(株)) 

レシピも工程も、同じにはしない 

スケールメリットを行使しないアークランドサービスホールディングスの戦略は、そもそもの業態がしっかり練られているからこそとれる戦略ではないだろうか。もしもコンセプトの魅力が弱かったら、スケールメリットを優先せざるを得ないのでは。中島社長にそう尋ねると、「そんな状況になるならそのコンセプト、業態は失敗です。閉めたほうがいい」と、厳しい言葉が返ってきた。 

アジフライをトッピングした、ごろごろ野菜のごちそう豚汁定食890円(写真提供:アークランドサービスホールディングス(株)) 
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