
吉原神社(写真:Masa / PIXTA)
NHK大河ドラマ「べらぼう」では、江戸のメディア王・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)を中心にして江戸時代中期に活躍した人物にスポットライトがあたっている。蔦屋重三郎とともに数多くの作品を送り出した浮世絵師の北尾重政(きたお・しげまさ)もその一人だ。連載「江戸のプロデューサー蔦屋重三郎と町人文化の担い手たち」の第14回は、人気絵師の北尾重政について解説する。
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駆け出しの蔦重になぜ人気絵師は手を貸したのか
周囲からみれば無謀にも思える挑戦へと突き進むときに、惜しみなく力を貸してくれる人ほど、ありがたいものはないだろう。蔦屋重三郎にとって、浮世絵師の北尾重政はそんな存在だった。
吉原で生まれ育った蔦重は7歳のときに両親が離別すると、引手茶屋を営む「蔦屋」に養子入りすることになった。茶屋の仕事の傍らで貸本屋を営んだことをきっかけに、出版事業に傾倒していく。
安永元(1772)年には、吉原大門口の引手茶屋の店を間借りするかたちで、書店「耕書堂」(こうしょどう)を開業する。
いつの日か自分で本を制作してみたい――。そんな蔦重の夢がかなったのが安永4(1775)年のこと。遊女らを花に見立てた『一目千本』(ひとめせんぼん)を世に送り出した。このときに、蔦重が絵を依頼したのが、絵師の北尾重政である。
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