
重三郎が出版物で重視したこととは?
本を読むことは読者にさまざまな変化をもたらすが、居ても立ってもいられなくなり、行動を起こしたくなったならば、その本に心が動かされた証拠だろう。
世界的なベストセラー作家として知られる村上春樹は、読者からの「春樹さんの小説を読んでいると、ものが食べたくなるのです」という声に「僕はそういうフィジカルな感想って大好きです」と応じて「小説にはそういう実行力というものも必要なのです」と答えている(『そうだ、村上さんに聞いてみよう: と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける282の大疑問』朝日新聞出版より)。
蔦屋重三郎の出版物もまた、読者の行動を喚起するものだった。なんとか吉原に客を呼ぼうと、ガイド本『吉原細見』を読みやすくして刊行したり、遊女評判記を次々と発刊したりしている。
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