高速道路の「ETC」はこれでいいのか? 大規模トラブルで考えるNEXCOの対応とETCの是非

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最終的にETCを開放して後払いに切り替えたが、最初からこうしておけば渋滞は短く済んだであろう。

利用者の立場では、自然災害でも自分の責任でもないのに何時間も渋滞につかまったうえ、後払いで通常額を請求されることへの不満もあるだろう。

新幹線などJRの優等列車では、2時間以上の遅れが発生すると特急料金を払い戻す制度がある。これに照らせば「今回は無料にしてほしい」という気持ちもあろうが、渋滞のたびに払い戻しをしていたらきりがない。

また、そもそも鉄道のような定時の概念がない道路交通で、渋滞による払い戻しを制度化したら、混雑時の渋滞による時間ロスまで際限なく補填することになってしまい、現実的とはいえない。

事故や天候など高速道路には予測できない不確定要素も多い(写真はイメージ:adigosts / PIXTA)
事故や天候など高速道路には予測できない不確定要素も多い(写真はイメージ:adigosts / PIXTA)

そんなこともあってNEXCO側に「無料にする」という考えはないと思われる。もし障害のために「無料で通行できます」というアナウンスを発表していたら、高速に乗る必要のないクルマまで高速に押し寄せたかもしれない。

いずれにしても、普段は便利なシステムも何かの事情で運用できない事態がさまざまな分野で起きていることからも、「システムが止まった場合の対応」については、シミュレーションも含めた“備え”の必要性を浮き彫りにしたといえる。

料金所とETCはこのままでいいのか?

日本のETCシステムは2001年に運用が始まって20年以上が経ち、普及率も95%に達するなど、私たちの生活にすっかり定着した。

しかし、ゲートの設置や維持、車載器の購入とETC専用のクレジットカードの登録など、NEXCO側にも利用者側にもかなりの負担を強いるシステムであることは否めない。

また、ゲートを通過する際には減速する必要があるため、追突事故が起きたりゲートを強行突破するクルマがいたりと、問題も多い。

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