また、私は自分の会社の株式は公開しないと決めました。
はじめは真剣に目指していたのですが、株式を公開すると株主が経営に口出ししてきて、自由に経営できなくなる恐れもあります。いま以上に仕事が忙しくなったら家族と過ごす時間がなくなりますし、犠牲にするものが多いように感じたので、公開しないことにしたのです。
「やらないこと」を決めて余力を残し、「やりたいこと」に力を注ぐ。そうすれば、いままで以上に充実した生活を送れると思います。
不用意に敵をつくらない
私はサラリーマン時代、アメリカに5年間赴任していましたが、商談のために旧ノースウエスト航空(現・デルタ航空)の副社長に会うことになったときの話です。驚いたのは、商談場所に副社長自らが車を運転してきたのです。
ノースウエスト航空の副社長に限らず、アメリカのトップたちは、基本的に自分で車を運転しますし、メールも自分でパパッと打っています。
当時の日本では、メールは部下に打たせる管理職がほとんどでした。アメリカ人の行動力を見て、「これじゃあ日本はかなわない」と心の底から思いました。
日本では、役員まで出世をしたら、運転手つきの社用車で通勤できるとされ、それがステイタスのように思われていました。さらに、社内ではいすのグレードでも格差がつけられて、出世するごとに肘置きがつき、革張りになり……という企業も少なくありませんでした。
出世した人間に威厳を持たせることで、マネジメントをやりやすくさせようという組織の配慮だったのだと思います。でも、そういう環境は「慢心」を生み出すので、非常に危険だと私は思っています。
「初心忘るべからず」ということわざほど、言うは易く行なうは難しの言葉はないかもしれません。人はすぐに慢心する生き物なので、自ら戒めないと成長が止まり、劣化がはじまります。
ビジネスパーソンとして脂の乗っている40代こそ足元をすくわれる機会も多いのです。いままで以上に慎重に仕事に取り組んでほしいと思います。
たとえば、メールは必ずレスポンスをするという習慣。
若いころは、「仕事のメールはすぐに返す」と教えられているからか、レスポンスが返ってこないことはほとんどありません。
けれども、年齢が上がるにつれメールへの反応は鈍くなっていきます。何度メールを送ってもレスポンスがないので、結局電話をかけて確認するという例もしばしばあります。
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