面白そうに振る舞える聞き手になれればいい--『聞く力』を書いた阿川佐和子氏(作家、タレント)に聞く
「インタビューは苦手」ながら始まった著者の週刊誌対談が、まもなく連載20年目に入る。10代のアイドルからマスコミ嫌い、政財界の大物までが彼女に心を開くのはなぜか。サワコ流「聞く極意」とは。
──名うての聞き上手に「聞く力」について質問することに、躊躇がありました。
ではキミ、ちょっと質問してごらん?
冗談ですよ。
ぶっちゃけた話、書くのは大変だった。こんなことがあった、あんな話もあったと、記憶を呼び戻して、それに対する教訓は何だろうと考えた。そしたら、とても本になるほどは書けないと言っていたのに、結局、十分膨らんで新書1冊になった。
──本の冒頭はインタビュアーとして適役でないという話に終始しています。
本当にそうだった。テレビ番組でインタビューに行くとスタッフから怒鳴られてばかり。何でそんなところを突っ込んで聞くのかなどと。連載がこんなに長く続けられるとは思ってもみなかった。
──満20年、さらに1000回記念、いずれお祝いが続きますね。
どうかな。900回を超えたときも、誰も反応しなかった。せいぜい、1000回に期待しましょうと声をかけられたくらいだった。
対談というものがエンターテインメントの雑誌で成立するのは日本だけではないか。ほかの国では、インタビューする際にテーマ性が強くあって、「どうですかね」「そんなあ」「これは関係ない話ですけど」といった言い回しまでが活字として入ることなどない。「意味のないもの」は削除するという考え方が基本だ。