ここまでするからには、ぱくさんも謎フードに夢中だったに違いない──。ところが、ぱくさんは当初、謎フードには「興味がなかった」という。なぜ仲裁に入ったのだろうか。
「人が言い争うのを見るのが嫌なんです。私の目的は、あくまで謎フードの“秩序”を守ること。だから、謎フードにはそれほど興味はなかったんですよね」
謎フード公安委員会の主な活動は、謎フードの認定だ。ただし、自分で創作した料理や食べたことがないものはNG。期間限定であってもいいので、店やイベントで実際に提供している食べ物に限定している。
2025年2月時点の投稿数は判定待ちを含めて557件。そのうち、謎フード認定されたのは288件だ。ほかにも、メルマガの発行、オフ会、同人誌の制作、自主イベントの企画や外部イベントへの出展も行っている。イベントの実務は、「企画室」所属の会員が担当する。

会員数は151人。新規会員になるための唯一の条件は、メルマガ受信用のメールアドレスを教えることだという。会費は無料だそうだが、ホームページの維持費や運営費はどうしているのか。
「趣味は自分のお金を出して楽しむもの。だから、私が負担しています。とはいえ、限度はあるので、謎フード公安委員会20周年イベントの際に22万2000円を出資し、そのお金をイベントや同人誌に充てることにしました。売り上げは口座に入れて、次回の費用に回します。金額の理由? 私がネコ好きだから『ニャーニャーニャー』で22万2000円にしました」
25年も活動を続けられた理由
しかし、謎フードに興味がなくて、25年も活動を続けれられるものだろうか? ぱくさんにそう問うと、こんな答えが返ってきた。
「会を立ち上げて3年目ぐらいから、謎フードに興味が出てきたんです」
きっかけは、「奇食の館」というサイトで名古屋市の名物喫茶店「喫茶マウンテン」のメニューを知ったことだった。同店は、あんこや果物を使った甘いスパゲッティーなどの奇抜なメニューで知られている。

「すげえ面白い」と感動したぱくさんだったが、はたと気づいた。
「そういえば、自分が変な食べ物を扱っているサイトの管理人じゃん。自分でおもしろい食べ物を探しに行ってアップすればいいんじゃん、と気づいたんです」
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