鎌倉時代の禅僧、三光国師が弟子に禅の極意を問われて、ただ一言「脚下照顧」と答えたことが由来です。脚下とは自分の足元のこと。照顧とは照らし顧みよという意味です。つまり脚下照顧は「自分の生き方を見つめ直しなさい」という教えでもあるのです。
「今」の延長線上に未来がある
人間はとかく、先のことばかりを考えがちです。明るい未来やかなえたい夢や目標に目を奪われますし、「ああなったらどうしよう、こうなったらどうしよう」という不安も、未来を憂うことで生じます。
すると、「履物をそろえる」という、目の前の所作を見失ってしまうほど心のゆとりがなくなる。自分自身の行いが見えなくなるのです。
履物をそろえられないぐらいですから、他の何が乱れていても不思議ではありません。 そうならないよう、三光国師は「足元をお留守にするな」と説いたのだと思います。未来に気を取られて、肝心の「今」がおろそかになってはいけません。
こうした話をすると「私には夢があるんです。そんな目の前のつまらないことなんて、どうでもいいじゃないですか」と反論したくなる人もいると思います。
もちろん、夢を持つのは結構なことです。
しかしながら、その夢まで一足飛びに向かうことは誰にもできません。誰もが、一歩一歩しか夢には近づけないのです。
未来はつねに「今」の延長線上にあります。夢をかなえるためには、そのような「今」を精一杯生きるほかに、道はないのです。そのように考えれば、夢=未来の実現にむかって努力することと、今を大切にすることは、なんら矛盾しません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら