予算「年度内成立」をめぐる与野党攻防の呆れた"舞台裏"、「熟議の国会」で横行する国民不在の駆け引き
要するに、「3月31日か4月2日かの選択」(自民党国対担当者)だが、後者のケースでは「手続き上、2日間の暫定予算の処理が必要」(同)となる。しかも、「わずか2日間分の暫定予算でも、これまでの例では閣議決定から国会議決まで3日間が必要」(同)とされる。そのため、「すでに時間切れ」(同)というのが実態。だからこそ、自民党は「暫定予算を組む気はない」と野党側を牽制するのだ。
一方、立憲民主党は25日に「まだ審議時間が足りないので、年度内に予算を通せない可能性がある」として、暫定予算の編成を自民党に要求。これを受け、与党は参院幹部とも協議のうえ、「暫定予算を組まない。年度内に新年度予算を仕上げる」ことを再確認し、与野党交渉は暗礁に乗り上げている。
ただ、このまま暫定予算抜きで予算成立が年度をまたげば、「4月1日以降、国民生活や地方行政に影響が出る」(政府筋)ことは避けられない。
慣例を持ち出す野党の“自己否定”
そもそも今回の混乱は、石破茂首相が予算案審議の参院移行後に「高額療養費の負担上限額引き上げの見送り」を決めたことが最大の要因。参院で再修正した予算案を再び衆議院に戻して再議決、成立させるという「過去に例のない事態」(衆院事務局)につながったわけだ。
しかも、混乱が収束せずに4月2日を迎えた場合、「憲法の『衆議院優越』規定で4月2日が終わった時点で、高額療養費を見直す前の予算案が『自然成立』する」(同)ことになる。このため、自民党は「もし、過去に例のない『自然成立』という形になると、国民から『何やってるんだ』と言われかねない」(参院国対幹部)と野党に釘を刺す。
そうした状況も踏まえ、自民党内では週末29日や30日にも予算審議を実施することで審議時間を満たす“奇策”が急浮上。これに対し野党側は「慣例がない」と反発しているが、政界関係者の間では「そもそもこれまで慣例を盾にしてきたのは自民党で、野党が慣例を持ち出すのは自己否定にもつながりかねない」との声が広がる。
こうした批判を意識してか、立憲民主党の斎藤嘉隆・参院国対委員長は記者団に対し、「野党として納得できれば(土日審議も)排除する気はない」と柔軟な対応を示唆している。ただ、野党幹部の多くは「年度末直前の週末は皆、地元遊説などの日程を抱えている」と首をかしげている。
そうした中、混乱に拍車をかける結果となったのが、25日昼に石破首相(自民党総裁)が官邸で行った斉藤鉄夫・公明党代表との与党党首会談で「新年度予算の成立後、強力な物価高対策を速やかに策定する方針」を明言したことだ。石破首相周辺は「ガソリン税の暫定税率廃止や高騰しているコメ価格の抑制などに対応することで政権浮揚を狙うため」と解説する。
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