写真家・ヨシダナギ、“東京脱出”の真相 島に移住して得た心の平穏と少数民族への熱情
「支援と同時に応援メッセージを入れられるんですけど、それを見た時にグッとくるものがあって。思ってた以上の人が、私のことを応援してくれてたんだなって実感しました。同時に、少数民族ってすごいなと思いましたね。2万5000円も出して(サイン入り写真集のリターンの金額)、写真を通して少数民族を見たいと支援してくれる。少数民族は人を魅了する力のある人たちなんだと再確認しました」
ゴーギャンが愛した「人間の地」へ
第2弾のベスト作品集では、撮りためていた10民族に加えて、新たに4民族を撮り下ろした。2024年3月15日にクラウドファンディングを終えたヨシダナギは、その翌月、タヒチ島の北東1500キロに位置するポリネシアの島、マルケサス諸島に向かった。地元の言葉で「テ・ヘヌア・エネタ」と呼ばれる。その意味は、「人間の地」だ。

ヨシダナギが着目したのは、タトゥー。タヒチ観光局によると、タトゥーという言葉はタヒチ語の「タタウ(tatau)」に由来しているとされ、社会的、宗教的に大きな意味を持つ。なかでもマルケサス諸島で受け継がれる伝統的なタトゥー「patutiki」の複雑かつ繊細な柄は、世界的に知られているそうだ。
撮影地に選んだのは、マルケサス諸島の中で2番目に大きなヒバオア島。画家ポール・ゴーギャンが愛し、人生を終えた地として知られる。撮影にあたり、ヨシダナギは現地のコーディネーターにコンタクトした。そのコーディネーターからの提案で、「世界中の少数民族を撮影しているヨシダナギという日本の写真家が来る。そのモデルを募集する」と現地の人たちに向けてSNSで告知してもらった。
その際、日本からはるか遠く離れたマルケサス諸島で、ヨシダナギのことを知っている人が大勢いると明らかになった。
「少数民族を題材に撮影する第一人者の写真家、ジミー・ネルソンが、以前に彼らを撮影しているんです。その影響で写真家に興味を持っている人が多く、私のこともフォローしている人たちがいたんです」
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