写真家・ヨシダナギ、“東京脱出”の真相 島に移住して得た心の平穏と少数民族への熱情

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2015年にテレビ番組『クレイジージャーニー』で取り上げられてから、一気に階段を駆け上った。2017年には『日経ビジネス』誌の「次代を創る100人」、雑誌『PEN』の「Pen CREATOR AWARDS」に選出され、講談社出版文化賞「写真賞」も受賞。写真展を開けば1年間で10万人が足を運ぶ写真家になった。

もちろん、有名になって良いことばかりが起きるわけではなく、人知れずつらい目にも遭うことも少なくなかった。人間への不信感は、荒波に翻弄されるような毎日に心身が擦り切れそうになった結果ともいえる。

屋久島に住み始めてからその波が収まり、「凪」の状態が訪れた。いつ以来かわからない、その安らかな日々のなかで心を満たされたヨシダナギが満を持して撮影に臨み、2025年1月に完成させたのが、第2弾ベスト作品集「HEROES -RELOADED-」だ。

ヨシダナギ
今年1月に発売した第2弾ベスト作品集「HEROES -RELOADED-」(画像:ライツ社)

第1弾のベスト作品集『HEROES』は1万部の売り上げ

2018年に発売した第1弾のベスト作品集『HEROES』は、1万2000円という高価格にもかかわらず、1万部を売り上げた。この写真集を出版したライツ社の担当編集者は、公式noteに「単行本に換算すると10万部を超えるベストセラー」と記している。

第2弾の製作にあたり、再びライツ社と組んだヨシダナギは、2024年1月、初めてのクラウドファンディングを開始した。目標金額は、1500万円。当初は、「1000万円ぐらい集まればいいかな」と思っていたという。それが蓋を開けてみれば、793人の支援者から寄せられた金額は、2078万3753円。屋久島の自宅でどんどん増えていく支援者の数を見ながら、気持ちを奮い立たせた。

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