「商品券配布→石破降ろし」では一向に解決しない自民党の抱える"本質的な問題" 「トップのすげ替え」で何かが変わるわけではない
例えば、3月9日の日曜日に開かれた自民党大会後、小林鷹之・元経済安全保障担当相は「(石破首相の)意思が二転三転しているように感じる」と苦言を述べている。小林氏は昨年9月の自民党総裁選に出馬し、それまで全国的にほぼ無名ながら、1回目の投票で9人中5位となって注目された。石破氏の“次”を狙ってもおかしくない存在だ。
石破首相に退陣を求めた西田参院議員は、次期首相・党総裁として高市早苗・前経済安全保障担当相が最有力だと宣言した。高市氏が自民党総裁に就任すれば、岸田政権時に離れ始めた「岩盤支持層」が自民党に戻ってくるとの期待があるのだろう。
「自民党離れ」問題の本質とは何か
確かに最近の「有権者の自民党離れ」は著しく、2024年末時点の党員数は102万8662人と、前年同期に比べて6万2413人も減じている。この「6万人ショック」は2023年6月に「LGBT理解増進法」が成立したためといわれるが、それでは同法に賛成した国民民主党が躍進したことを説明できない。
国民民主党は昨年10月の衆議院選挙で7議席から28議席に躍進し、12月以降は多くの世論調査で政党支持率が立憲民主党を抜いて野党トップとなった。とりわけ若い有権者の支持率は高く、2月の産経・FNN合同世論調査では、18歳から29歳まででは18.9%とトップを占めて自民党の11.8%を大きく凌駕し、30代でも15.9%と自民党(11.2%)を上回っている。
「岩盤支持層」よりもむしろ「ふんわりと自民党を支持する若い層」がより多く離れたと思われる。致命傷となったのは2022年末から続く「政治とカネ」問題であり、それゆえ衆院選を控えた昨年9月の総裁選では、それまでの総裁の座から最も遠い存在と思われた石破首相が選ばれたのではなかったか。
にもかかわらず、6月の東京都議選挙やその後の参院選を控えた現在、石破首相自身が「政治とカネ」問題を発生させてしまった。3月15日には、石破首相が代表を務める自民党鳥取県第1選挙区支部(鳥取市)で、2021年に受けた個人献金のうち14件・計132万円分について、寄付者の住所欄に個人献金者が代表などを務める企業や団体の所在地を記載していた、と報じられた。虚偽記載の可能性もある。
もし自民党が「トップのすげ替え」で問題が解決すると安易に思っているなら、これほど有権者をバカにした話はない。
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