枡野:禅では、「一掃除二信心」と言います。信仰が上かと思われますが、そうではありません。床を磨くことは、自分の心を磨くこと。
そのことを体で「気持ちいいな」と思うようになると、「この状態を保つにはどうすればいいか」と考えるようになる。だから「禅即行動」、行動が先になるわけです。
呼吸を整えると、五感も整う
枡野:呼吸を整えると、心が整いますから、わずかな変化も感じられるようになります。
例えば「今日は朝の風がやわらかで、寒さが緩んでいるな」ということを感じるその感覚がとても大事です。ところが、スマホをしながら歩いていたりすると、同じ環境にいても、そういうことを感じられずに通り過ぎてしまいます。
情報があふれる中で、常に意識が情報にとられているから、体が感じなくなっているわけです。現代人の弱点ですね。
とは言え、SNSはコミュニケーションツールとしては非常に役立つものです。スマホを使う時間を限定してもいいですね。「私は夜9時を過ぎたらスマホは見ないからね」と宣言すればよいでしょう。
大事なのは、情報に振り回されたり、SNSに使われたりするのでなく、自分でそれを使う主体になれるかどうかです。