フランス西部に住むアラン(仮名)とニナ(仮名)の夫婦は、共働きで2歳から19歳までの2男2女を育てている。数日間滞在した一家の自宅は、庭つきの一戸建て。ときおり、近くの教会の鐘の音が聞こえる閑静な住宅街にある。
妻ニナは「家にずっといるより、外で他の人と会って話をしていたい」という希望もあり、働き続けてきた。これまで仕事を続けられたのは、社会制度によるところが大きいと感じている。それでも、最初の子どもの保育所を探す際には、なかなか預け先が見つからず、20カ所ほど電話してようやく探し当てたという。
4人目の子どもを産んだときには、周囲には「もう仕事は辞めて家にいたほうがいい」と言う人もいた。しかし、自分の意志を大切にした。昼間は仕事に出かけ、夜や休日は家族と過ごすという生活が、自分には合っているのだという。
そんな母親の負担を減らそうと、19歳の長女は末っ子の次男の世話をかいがいしく焼く。ぐずれば抱っこ、のどが渇けば牛乳を与える。洋服を汚せば着替えさせる。大きな子どもが小さな子どもの子育てにかかわる。少子化が進む日本ではあまり見られなくなった光景に心が和む。
夫はミルフィーユ作りもお手の物
食事は夫婦のどちらかが用意するが、中学生の次女は姉とともに準備や後片付けを手伝う。掃除はもっぱら、夫アランの担当だ。この夏、ニナと2人の娘たちが米国に数日間旅行した際、アランが小学生の長男と次男とともに留守番したという。イクメンで家事が得意なアランだから、ニナも安心して旅行に出発できたのだろう。
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