15年ぶりに地下鉄に乗る
専業主婦だったとき、外出時はどうしても子ども4人連れとなるため、山下さんの移動手段はマイカーだった。ところが仕事に出るため久しぶりに乗った地下鉄は、この15年の間に様子が一変。初めての路線や駅をスマホ検索しながら、リハビリ感覚で電車を乗り継いでいる。
「昨年秋から日本語学校と人材育成会社の2カ所で働き始めて、毎日違う場所へ出勤。仕事が決まって慌ててスーツや靴、バッグを買いに走りました。なにしろブランクが大きいので、仕事が終わると毎日ヘトヘト。講師業は下準備もあるので、帰宅しても気が休まるときがありません」
日本語学校には非常勤講師として週2日出勤、50分の授業を8コマ担当。人材育成会社では企業研修トレーナーとして週3日、自治体や教育機関、一般企業で研修を行う。この春は新人研修セミナーが立て込み忙しく、地方出張もこなした。
「夫も子どもたちも、私が働くことを快く応援してくれます。なのに、家事だけはいまだに”ママの仕事”だと思っているふしがある。家族全員に『今はママのほうが忙しいから手伝って』と、再教育中なんです」
15年もブランクがあったのに、なぜ求人にエントリーしてすぐに2つも仕事が決まったのか。そのヒントは、山下さんがやりたい仕事に思う存分打ち込み達成感を得ることができた20代、家事や育児に専念してきた30代、そして40代半ばからの再就学にある。
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