孤独の晩酌?「一人飲み」飲食店が続々登場の背景 時代はソロ飲みなのか…消費者に加え店側の事情も

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おそらくだが、「サラリーマン」を終えたものの、まっすぐ家に帰りたくないお父さんたちが、「お父さん」に戻る前、つかの間の一人時間で「自分」を取り戻していたのかもしれない。あのカウンター席は彼らにとってのサードプレイスだったと、哀愁漂う背中が物語っていた。

チェーン店のいいところは他人とのコミュニケーションが最低限で済むことだ。

最近はタブレット注文の導入も進み、スタッフとすら会話しないで済む。個人店と違って余計な気遣いやコミュニケーションをしてこないのが、かえって心地いいと感じる人も多いはず。

家庭に戻る前のお父さん以外にも、他人の目を気にしがちな今時の若者にとっても、一人になれるうってつけのデトックスタイムなのかもしれない。

このように一人飲みが盛り上がるのは時代背景が関係しているからだと筆者は考える。現代人はどんどん他人との調整ができなくなっている。というのも、いま「調整を排除するサービス」が増え過ぎているからだ。

例えば起業をしようとする際、提供する商品やサービスを構築する際の考え方として「ユーザーのペインを取り除く」というセオリーがある。ユーザーが面倒だ、いやだと思う「ペイン(痛み)」を見つけ出し、そのペインを除くサービスを提供すれば成功できる、というもの。

その最たる例が、面接不要で働けるタイミーだったり、退職手続きを代わってくれる退職代行だったりと、いまを時めくサービスの多くの下地にこのセオリーがある。

他人と飲みに行く際の日程調整やお店選びはペインに相当する。他人との調整というペインがどんどん取り除かれつつある世の中で、これらができない人が増えている。各々の予定がある中で日程をすり合わせ、お互いの好みを加味して適切なお店を選ぶことは地味に手間がかかる。ならいっそ、一人で気楽に飲みに行きたいと思ってしまう。

SNSで「いま誰がどこにいる」が可視化

また、SNSの発達も無関係ではない。InstagramのストーリーズやBeReal、位置情報の共有アプリなど、いま、SNSを開けばリアルタイムでいま誰がどこで何をしているのかわかってしまう手段があふれている。

それにより、他人と約束をする必要性が薄れている。

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