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「ストレス耐性の強化」と筋トレの意外な共通点 ストレスは決してネガティブなものではない

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  • 伊藤 裕 慶應義塾大学名誉教授、同大学予防医療センター特任教授、医学博士
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ワクワク感は、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の分泌によって引き起こされる。ノルアドレナリンやそれから作られるアドレナリンは、これまでにお話ししてきたように、心拍数を上昇させ、身体を緊張状態に導くストレスホルモンの1つだ。

ストレスフルな状況に強い人たちは、何度もストレスフルな状況を乗り越えた快感を重ねることで、ストレス反応=ワクワク感と変換し、ハードな課題にも果敢に向かっていくマインドセットを習得しているといえよう。

渋々、嫌々やるよりも、ワクワクしながら向き合うことで、学習能力は高まり、新たなスキルや知識を習得しやすくなる。また次のストレスが来た時には、もっと上達している可能性が高い。

セルフ・エフィカシー(self-efficacy)という言葉が知られている。日本語で、「自己効力感」である。これは、カナダの心理学者アルバート・バンデューラ氏が唱えた、ある行動をうまく行うことができるという「自信」や「確信」を指す。

1度行ったある行動がうまくいくと、われわれは、同じ行動を繰り返し、誰から命令されることもなく自ら行う可能性が高くなる。また、その行動をするための努力を惜しまなくなり、失敗や困難を伴っても諦めにくくなって、目標を達成するまで努力するようになる。

そして、その結果、成功の可能性が高まるという現象だ。まさに、ストレスは、セルフ・エフィカシーを高めてくれるといえる。

「ストレス耐性」は筋肉の「超回復」と似ている

筋肉を酷使した後で筋肉痛が起こり、それが治ると筋肉が前より強靭になる「超回復」という現象がある。筋肉や体が激しい運動や強い負荷によって疲労やダメージを受けた後、休息期間を通じて元の状態以上に回復する現象だ。

激しい運動をすると肝臓でグリコーゲンとして貯蔵されていたブドウ糖が分解されて使用される。休息中に再び、グリコーゲンの貯蔵は回復するが、激しい運動、そしてその回復を経験することで、運動前のグリコーゲンの量より増えることが知られている。

ダメージを受けて休息した後の体が運動をする前より強くなるというのが興味深い。

超回復を得るためには、運動後の休息と栄養補給が欠かせない。また、休みっぱなしではなく、適切なタイミングで再びトレーニングを行うことが重要だ。

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【早すぎても遅すぎてもダメ】

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