「ストレス=悪」の誤解が招く不調のスパイラル5つ なんでも「ストレスのせい」にしてはいけない

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ストレス自体を病気のように捉えてしまうのは誤解だという(写真:PanKR/PIXTA)
1950年代から日本で使われ始めたとみられる「ストレス」という言葉には、バブル期を経て「悪いもの」というイメージが浸透したが、その偏ったイメージに捉われると、かえって問題解決の本質を見失ってしまうといいます。
「ストレス」という言葉に対する誤解が招く弊害とは具体的にどんなものなのでしょうか。慶應義塾大学名誉教授の伊藤裕氏の著書『なぜストレスフルな人がいつまでも若いのか: ストレスを使いこなす!6つの金のメソッド』から、一部を抜粋・編集して解説します。

バブル期に社会に広く浸透した「ストレス」

日本で「ストレス」という言葉が使われるようになったのは、1950年代とみられる。

1957年に、「ストレス」という概念を初めて提唱したカナダ人の生理学者、ハンス・セリエ博士が来日したことによりストレスが注目され、「ストレス」がこの年の流行語に選ばれた。これが、ストレスというものが国内で知られるきっかけになったようだ。

50年代は、戦後社会が急激に変化していたころで、それまで知られていなかった「ノイローゼ」や「ヒステリー」といった精神医学系の言葉が相次いで流行語になった。

とはいえ、日常的な会話でストレスという言葉が使われることは少なく、特にストレスから来る心の問題に関しては、「悩み」や「気苦労」という表現が主流だった。

現在のようにストレスが社会に幅広く浸透し、日常的に会話の中でも使われるようになったのは80年代のバブル期だと思われる。

戦後の高度経済成長期を経て、景気がよくなり、人々は仕事にレジャーにと忙しくなった。「24時間働けますか」をキャッチフレーズにした栄養ドリンクが売れた。"イケイケ"な時代は人を疲れさせ、ストレスに光が当たった。

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