「ストレス耐性の強化」と筋トレの意外な共通点 ストレスは決してネガティブなものではない
危険を感じて戦うか逃げるかといった事態で、心肺機能が高まり、筋肉に力を蓄えている状態で、気持ちだけがだらっとして「なにもやる気が出ない……」というわけにはいかない。
モチベーションとは、ストレスフルな状況で発動されるもの。ストレスとモチベーションは、コインの表と裏の関係なのだ。
ストレス=新しい挑戦や困難な課題に立ち向かう意欲そのものである。まさに、ストレスによって、人のモチベーションは高まり、現状を打破する変化を渇望するマインドセットになる。
これこそが、ストレスが成長と発展を促すということである。
ストレスを活用してモチベーションを上げる
こうした、私たちの成長やモチベーションの向上に寄与するストレスを、カナダ人の生理学者、セリエ博士は「ユーストレス」と名づけた。
日本語には「尻に火が付く」という言葉があるが、明らかにストレスやプレッシャーがあると、集中力ややる気が向上する。みなさんも、「いつでもいい」というタスクはなかなか取りかかれない、という経験はあるだろう。
たとえば、日本人が何年も勉強しているのに、なかなか英語を習得できない理由は簡単だ。「どうしても英語を身につけなければいけない」というストレスが少ないからだ。日本にいる限り、日常生活で英語が必要になる場面が少ない。多くの人は、英語ストレスが非常に少ない環境に身を置いているわけだ。
しかしこれが、仕事で四六時中英語を使わなければいけない状況になるとか、英語話者と国際結婚をするとか、強い英語ストレス状態になると、たちまち英語を使いこなせるようになってしまう。
「適度なストレス」と本人が感じている程度では、ほとんどストレスがないも同然だ。自分を強く追い込むことによって、集中力、問題解決能力といったあらゆるパワーが飛躍的に増し、新しいスキルを習得したり、困難な状況を乗り越えたりすることができる。
五輪選手が、出場するだけでも大変な世界の舞台で、居並ぶ報道陣を前に、「絶対に金メダルを取ります」と宣言をする姿を見ると思う。あれも、極限までに自身を追い込んでいるのだ。
「退路を断つ」や「背水の陣」といった言葉があるが、みなさんも、どうしても達成したい目標があったら、ぜひ、逃げ場のない環境に身を置く、周囲に宣言するなど、「やらないわけにはいかない」「引くに引けない」というストレスフルな状況に身を置いてみてほしい。かなりの確率で実現することができるはずだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら