
日本でも、小規模ながらトヨタ「2000GT」や、日産「スカイラインGT-R」などのプロジェクトが存在するし、クラシックカーとは少し異なるが、光岡自動車が、独自の世界観を持ったモデルをしっかりと商業ベースに乗せてもいる。
現行モデルをベースに、内外装を憧れのクラシックカーを思わせるスタイリングに仕立て直すビジネスだ。
マニアも「ホンモノ」だと認めるシンガー
近年、レストモッドという新しいネーミングが与えられたことで、このトレンドに大きな変化が生まれている。
かつては、古いクルマの欠点を補完するという意味合いが強く、“クラシックカー改造”と捉えられていた。
クラシックカー愛好家には、そのクルマが製造された時の状態に「限りなく近いものであるべき」というオリジナル志向が強くあったため、“クラシックカー改造”には否定的な声も多かった。感覚的には、“レプリカ”に近かかったかもしれない。
しかし、現在のレストモッドは、クラシックカーに「より積極的に新しい価値を加える」という方向性にある。
たとえば、ポルシェ「911」のレストモッドたるシンガーを見てみよう。

50年前のたたずまいを壊すことなく、今に通用するドライビングの楽しさを最新モデルと同等のレベルで与えている。
ここまで走りにこだわったレストモッドは、今までなかった。従来のマニアも、シンガーを“ホンモノ”と認めている。シンガーは、これをレストモッドとは称さず、リイマジン(Reimagined)と表現する。
現行のモデルはハイパフォーマンスではあるものの、安全基準の強化などに対応するため、大きく重くなっている。また、マジョリティの嗜好に応えて、スポーツカーでもオートマチック・トランスミッションしか選択できないケースが大多数となった。
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