富裕層の新トレンド「レストモッド」とは何か? 究極の「レストア・ポルシェ」を作るシンガー

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いま話題のレストモッドの中でも、特に注目されるのが北米のシンガー(筆者撮影)
いま話題のレストモッドの中でも、特に注目されるのが北米のシンガー(筆者撮影)

「レストモッドカー」という単語を耳にされた方は多いと思う。

レストモッドとは“Restoration and modification(modernization)”を意味し、旧車をレストア(=修復)し、それに何らかの改造を行った趣味性の高いクルマのことを称す。

【写真】お値段、数億円!究極のレストモッド・ポルシェ「シンガー」(27枚)

クラシックカーを再構築する

少し古い“旧車”を走らせるのは、(現在の常識でいえば)なかなか骨が折れる。

たとえば筆者は、50年ほど前のスポーツカーを長年愛用しているが、巨大な4つのキャブレターの調整がうまくいかなければ調子が出ないのはもちろん、エンジンすらかからないこともある。

エアコンは、真夏になるとほとんど効かないし、ステアリングも、クラッチもとんでもなく重い。それに、クルマに乗って帰ってくると家人からは嫌がられる。体中に排ガスの香りを漂わせているからだ。

後述するシンガーが手掛けたポルシェ「911」のインテリア(写真:Singer Vehicle Design) 
後述するシンガーが手掛けたポルシェ「911」のインテリア(写真:Singer Vehicle Design) 

そんな面倒くさいクルマの「どこがいいのか」と思われるかもしれない。しかし、現代ではありえない低くシャープなフロントエンドや、低いボディの特徴的なスタイルはいつ見てもほれぼれとする。

キャブレターの持つ独特のレスポンスや、エグゾーストノートなどを堪能することができるから、欠点も許せてしまうのだ。

レストモッドとは、こうしたクラシックカーの欠点を減らしながらも、その魅力を極力失わないように再構築したものだ。

この考え方はかなり古くから存在し、法的に自由度が高く、スポーツカー文化が定着している北米では、エンジンのスワップ(載せ替え)などは昔から、ひとつの趣味として定着している。

より高性能で新しいエンジンを搭載したり、それにあわせてエアコンなど電装系をアップデートしたり、乗りやすさを追求するのだ。

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