限界「ホワイトカラー」にしがみつく人への処方箋 『ホワイトカラー消滅』冨山和彦氏に聞く・前編

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リスキリングの議論はデジタル分野に偏りがちだが、AIの得意分野でAIと競い合うのはやめたほうがいい――。『ホワイトカラー消滅』の著者・冨山和彦氏に話を聞いた(撮影:今井康一)
産業構造の変化やデジタル化の進展が加速する日本で、「人余り」となる従来型のホワイトカラーは生き残りの選択肢を失っていく――。その道を一直線に歩んできた40~50代はこれからどうすればいいのか。キャリア形成の途上にある20~30代は何を目指せばいいのか。冨山和彦氏の著書『ホワイトカラー消滅』の内容を基に、新時代の稼ぎ方・働き方について掘り下げた。
※記事の内容は東洋経済の解説動画「【ホワイトカラー消滅】冨山和彦氏に聞く新時代の稼ぎ方」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。
撮影・編集:田中険人、昼間將太

調整、分析…典型的なホワイトカラーから消える

――『ホワイトカラー消滅』とは衝撃的なタイトルです。日本社会で中心的位置を占めてきたホワイトカラーが、かつての武士のように消滅していくと見立てていますね。

ホワイトカラーは曲がり角に来ている。戦後出来上がった日本のホワイトカラーモデルは、終身雇用、年功制、一度会社に入ったらメンバーシップ制の中で身分が保障されるというものだ。いろんな部署を回らされたり、急な転勤に対応しなければならないが、30〜40年間、安定した待遇で働くことになる。

その仕組みは、ずっと同じゲームが続くならよかったのだと思う。つまり「大量生産、大量販売を基本とし、それを改良改善していって、メイドインジャパンで世界を埋め尽くす……」みたいなゲームが続くならよかった。しかし、世界は別のゲームで回るようになっていく。グローバル化、デジタル化が進み、付加価値の源泉はハードからソフトに移った。

まず、日本企業の停滞が起きた。それが日本経済の停滞につながり、加えてAI(人工知能)が出現した。AIは、もろにホワイトカラーの仕事をやってくれる。デスクワーク頭脳労働においては、本当にアッパーな、“使う側”の仕事は残るかもしれないが、調整、資料作り、調べる、分析するといった仕事を担う人、例えば販売管理部門のようないちばん典型的なホワイトカラーがいらなくなる。

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