勤勉な日本人が「低い生産性」に甘んじてきた必然 『ホワイトカラー消滅』冨山和彦氏に聞く・後編

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デフレと人手余りで30年間やって来たから、頭の中がまだ切り替えられていない――。『ホワイトカラー消滅』の著者・冨山和彦氏に話を聞いた(撮影:今井康一)
産業構造の変化やデジタル化の進展が加速する日本で、ホワイトカラーは「人余り」の時代に突入する一方、地域経済を支えるエッセンシャルワーカーや観光産業には新たなチャンスも生まれている――。。冨山和彦氏の著書『ホワイトカラー消滅』の内容を基に、新時代の日本の稼ぎ方について掘り下げた。
※記事の内容は東洋経済の解説動画「【日本は「停滞なる安定」から脱却できるか】ホワイトカラー消滅時代の生存戦略」から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。
撮影・編集:田中険人、昼間將太

よき人生の定義を「多元化」せよ

――日本はこれまで「停滞なる安定」、低成長だが社会は崩壊しない道を暗黙のうちに選択してきたと指摘されています。

今のアメリカは経済成長して、株価も絶好調だけど、サンフランシスコなんて危なくて歩けない。ちょっと異様な感じだ。普通はあれだけ経済指標がよかったらウハウハのはず。日本がアメリカのようにならなかったことが本当に悪いことなのかはわからない。

――「両利きの国を目指す」、すなわちローカルは豊かでグローバルが強い国を目指すという提案をされていますが、それには何が必要ですか。

まずは成功の仕方、よき人生の定義を多元化することが必要だ。大谷翔平選手や五輪金メダリストのように世界の頂点を目指す人生はつらい。人の何十倍も努力して、怪我もして、それを克服してという方向で頑張る人生を全員が目指す必要はない。自分の住む地域でエッセンシャルな仕事をして、目の前にいる人たちの役に立っていく人生もいいものだ。

人それぞれの幸せの尺度、役立ち方を皆が認め合える社会にしていかないとまずい。若い人の空気感は変わってきているように感じる。今、スタートアップが最も多いのは東大だ。若い人たちは1つの軸で見るのはもう「無理ゲー」だと思っているんじゃないか。

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