勤勉な日本人が「低い生産性」に甘んじてきた必然 『ホワイトカラー消滅』冨山和彦氏に聞く・後編
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よき人生の定義を「多元化」せよ
――日本はこれまで「停滞なる安定」、低成長だが社会は崩壊しない道を暗黙のうちに選択してきたと指摘されています。
今のアメリカは経済成長して、株価も絶好調だけど、サンフランシスコなんて危なくて歩けない。ちょっと異様な感じだ。普通はあれだけ経済指標がよかったらウハウハのはず。日本がアメリカのようにならなかったことが本当に悪いことなのかはわからない。
――「両利きの国を目指す」、すなわちローカルは豊かでグローバルが強い国を目指すという提案をされていますが、それには何が必要ですか。
まずは成功の仕方、よき人生の定義を多元化することが必要だ。大谷翔平選手や五輪金メダリストのように世界の頂点を目指す人生はつらい。人の何十倍も努力して、怪我もして、それを克服してという方向で頑張る人生を全員が目指す必要はない。自分の住む地域でエッセンシャルな仕事をして、目の前にいる人たちの役に立っていく人生もいいものだ。
人それぞれの幸せの尺度、役立ち方を皆が認め合える社会にしていかないとまずい。若い人の空気感は変わってきているように感じる。今、スタートアップが最も多いのは東大だ。若い人たちは1つの軸で見るのはもう「無理ゲー」だと思っているんじゃないか。
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