できごとは実家だけにとどまりません。周囲の人間関係からも思いやりに欠ける言葉を聞かされたと圭子さんは言います。
「ある子がことあるごとに上の娘に言うんです。『(妹は)なんで学校に行かないの? 親が甘やかしているんじゃないの? 家に不登校生がいるってどんな感じなの?』って。『余計なこと言わないで!』と思いました。その子の親御さんは保育園時代からの知り合いなので、たぶんうちの不登校のことを家族で話題にしていたんでしょうね。上の娘にまで負担をかけているかと思うと、胸が締めつけられる思いでした」
ただでさえ精神的に疲れているのに周りからのストレスが積もり積もって、圭子さんは人を避けるようになります。「これ以上誰にも不登校を知られたくないし、話しかけられたくもない」と、保護者会や学校の行事は直前に行き、終わると逃げるように帰ったそうです。
そんな圭子さんを支えたのはご主人でした。ご主人は同じ親として子どものことをいっしょに考える圭子さんの最大の味方でした。
「子どもたちの前で愚痴を吐けないので、会社帰りに主人とコンビニで待ち合わせて、コーヒーを飲みながら話を聞いてもらいました。主人は否定的なことを言わないんです。自分たちのことを反省しつつ、『大丈夫だ』と言い続けてくれました。私が『子どもがいなければこんな悩みはなかったのに』とこぼした時は、さすがに『そんなことを言うものじゃない』と叱られましたけど」
実母の過干渉の記憶から、子育ての課題を見つけ出す
そのような状況を経て、ある時、圭子さんは実家のお母さんとの関係性に気づきを得ます。
「そういえば母は私が中学生になった頃から干渉的だったなって。友達との交換日記を見られたり、部活の仲間と泊まりに行った時も、本当にそこにいるのかと電話してきたり。いつも監視されている感じでした。それを思い出して、『ああ、私も子どものことをすべて知っておきたいという気持ちがある』と気づいたんです。それから娘たちに干渉することをやめました」
「やりたくないことを無理にやらせるのもやめました。娘が習い事をやめたいと言った時、『途中でやめたらダメ』と引きずって連れて行ったんですが、これも親の意見の押し付けですよね。それからは自分がやりたいことを見つければいいと思うようになりました」
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