親子の関係性のなかで受け継いだ価値観や言動は、良いこともそうでないことも無意識に自分の子育てに反映されていくものです。お母さんとの間に課題があったと気づいた圭子さんは、日常生活で少しずつ自分を変えていきます。
「まず、自分の心を整えるようにしました。瞑想したり、ひとりでお風呂に入っている時に明るい未来を想像しながら『娘には輝かしい未来が待っている。大好きだよ』と唱えてみたり」
「私は人に謝ることが苦手でしたが、自分が悪いと思ったら子どもたちにもちゃんと謝るようにしました。そうすると娘とのぎくしゃくした時間も短くなるんです」
「視点を変える声かけも取り組みました。娘は人からどう見られているかをとても気にするんですが、『人目を気にするということは、周囲のことがよく見えているってことだからいいことだよ』とネガティブな娘のものの見方をポジティブに変えるように意識しました」
「傾聴も心がけました。娘が荒れて泣きながら話してきた時も、ただ『うん、うん』と聞いて、『不安だよね……』とその時の娘の気持ちをリアルに言葉にしたんです」
そんな地道な努力と変化が伝わり、娘さんの言動は次第に落ち着いていきました。
乳がんで入院、病室から支えた娘たちのダブル受験
中学入学後も娘さんの不登校は続きましたが、3年生の夏には高校受験を決意。勉強を始めます。
「進路担当の先生からは通信制高校を勧められたんですが、娘は『全日制の高校に行く』と譲りませんでした。受験は5科目あるし、授業を受けていなかった娘がどこまでついていけるのか不安でしたが、『中学ではほとんど教室に行けなかったから高校では教室で授業を受けてみたい』と強い意志を見せたので、家庭教師の先生にお願いして家族で応援することにしました」
ところが、その矢先、圭子さんに大きなできごとが起こります。
「私に乳がんが見つかったんです。『まさか私ががんになるなんて……』とショックでした」
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