娘さんの荒れは収まらず、暴言や暴力だけでなく、圭子さんの財布からお金を持ち出すこともあったそうです。
「時々1000円札がなくなるんです。2、3回でトータル3000円くらいでしょうか。娘の身の回りに当時流行っていたアニメのグッズが増えているので不審に思いました。頭ごなしに叱るより、本人に気づかせたほうがいいと思い、『おかしいな、お金が少なくなってる。支払いできないよ』と娘に聞こえるように独り言を言うと、泣きながら手紙を持ってきて『ごめんなさい、私が盗りました。働けるようになったら返すから許してください』と。そこからお金を持ち出すことはなくなりました」
子育てを振り返り自分を責める
このような問題行動を目の当たりにすると「まさか自分の子どもが……」と親はうろたえます。圭子さんもどうしてこんなことになったんだろうと自分の子育てを振り返り、至らなかったところを思い出しては自分を責めました。
「1歳から保育園に預けて働いたのが良くなかったの? 寂しい思いをさせたから? 甘やかしたから?」
「自分も娘といっしょにいなくなればラクになれるかな……」
などと、過去を悔やんでは泣いてばかりの毎日だったそうです。
そんな圭子さんの日常に心を波立たせるできごとが続きます。
「実家の父が倒れたんです。母が介護のストレスから私に不安や愚痴を電話してくるようになりました。母は娘の不登校を知りませんから、私は両方を受け止めるのが大変で『お願いだからどちらかを解決して!』と精神的に追い詰められていきました」
「義理の実家のほうにも悩みがあって。主人の母が不登校のことを知り、『学校に行っていないならお小遣いをあげないよ』と上の娘と下の娘を差別するようになったんです。帰省のたびに嫌な思いをしましたね」
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