フィリピン副大統領が下院で弾劾!失職の危機に  次期大統領選の有力候補、現職は妻との間で板挟み

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それでも今後の展開や、落としどころが見通せないのは、マルコス大統領自身の意向や本音がはっきりしないからだ。

マルコス氏は2024年11月、サラ氏の弾劾について「コップの中の嵐だ。議会の時間が無駄になるだけだ。国民にとってなんの利益にもならない」と消極姿勢を示していた。

弾劾訴追された翌2月6日にも「行政府は関与しない」と話し、長男が署名の筆頭者になっていたことを「知らなかった」と述べた。「議員に指図はできない。彼らには彼らのやり方がある」と肩をすくめた。

大統領夫人vsサラ氏が対立の核心

「一族の中で役割分担をしている」との見立てもあるが、マルコス陣営内部が一枚岩とはいえない状況も垣間見える。

大統領の後継者と目される長男や次期首班をねらうロムアルデス氏が弾劾訴追を主導した一方で、サラ氏と友人関係にある大統領の姉アイミー・マルコス上院議員は弾劾反対を公言している。

両陣営の争いの核心には、サラ氏とルイーズ(リザ)・マルコス大統領夫人との根深い対立がある。2024年来、2人は同席してもあいさつもせず、口も利かない険悪な仲だ。

2024年1月、ダバオでの集会で、前大統領がマルコス氏を「麻薬中毒者」となじったとき、サラ氏がその様子を笑いながら聞いている動画を観たリザ氏は「一線を越えている」と激怒した。サラ氏は「怒るのは勝手だが私の職務には関係ない」と突き放した。

2024年11月の「暗殺発言」の際にサラ氏は「リザ・マルコス」と呼び捨てにしたうえで「あんたは教育省の役人に現金入りの封筒を配るように私に指示した。政府の役職もないあんたが政府の金を配っている」と放送禁止用語を交えて罵った。

優柔不断で争いをあまり好まない大統領自身は、選挙で恩義のあるサラ氏と妻との間の板挟みになっているように見える。

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