フィリピン副大統領が下院で弾劾!失職の危機に  次期大統領選の有力候補、現職は妻との間で板挟み

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2025年5月には下院議員全員と上院議員の半数、全州の知事らが改選される中間選挙が実施される。このため国会は2月5日が選挙前最後の召集日だった。現職議員が登院する最終日に駆け込みで可決された動議は上院に送られた。

下院側は「立法行為ではないため、休会中でも弾劾裁判の審理は可能」と主張したが、裁判長となるフランシス・エスクデロ上院議長は翌2月6日、弾劾裁判の開催は選挙後へ先送りすると明言した。

1987年制定の現憲法下で弾劾訴追された政府高官は4人。副大統領は初めてだ。有罪判決を受けたのは2012年の最高裁長官レナート・コロナ氏だけである。この時、弾劾裁判は5カ月間続いた。

第13代のジョセフ・エストラダ大統領も訴追されたが、群衆の街頭活動に押される形で判決前に辞職し、副大統領だったグロリア・アロヨ氏が後任に収まったこともある。

次期大統領選への意欲表明が引き金に

今回、下院の弾劾訴追は唐突だった。下院事務総長は2025年1月19日、訴追を支持する議員は6人にとどまっており可決は難しいとの見通しを話していた。訴追してもすぐに休会に入ることから、マルコス大統領も「いまがタイミングとは思わない」と話していた。

駆け込み訴追の伏線は、4日前の2月1日のサラ氏の発言にあった。南部ミンダナオ島北ダバオ州の集会で、2028年の大統領選への立候補を「真剣に検討している」と話した。

サラ氏は東京を私的に訪問した1月12日にも、フィリピン出身者の集会で「現政権下で国は衰退を続けている」と政権批判をするとともに次期大統領選への意欲を語っていた。

サラ氏はこれまで、出馬するかどうかの決断は2026年以降にすると話していたが、中間選挙を前に旗幟を鮮明にした形だ。

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