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フィリピン副大統領が下院で弾劾!失職の危機に  次期大統領選の有力候補、現職は妻との間で板挟み

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  • 柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表
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弾劾訴追は、1年以上続くマルコス陣営対ドゥテルテ陣営の対立の帰結だ。マルコス側の狙いは3年後のサラ政権の誕生阻止にある。

サラ氏は前回2022年の大統領選前の世論調査で一貫して首位を走っていたものの、大統領候補の座をマルコス氏に譲り、副大統領選に回った。2人は「ユニチーム」として全国を回り史上最高の票数を得て圧勝した。

前回の不出馬を悔いるサラ氏

この経緯から、サラ氏とすれば、ドゥテルテ家に配慮して政権運営が進められるものと考えていたが、実際には希望した国防相のポストは与えられず、外交・安全保障政策は親中路線からアメリカ寄りに大きく転換した。前政権の強硬な違法薬物対策も踏襲しなかった。

さらに「マルコス後」を狙うロムアルデス議長率いる下院は副大統領府などの機密費支出を問題視し、サラ氏や側近を公聴会に召喚するなど圧力をかけた。

こうした扱いに憤慨した父の前大統領は2024年1月、現大統領を「麻薬中毒者」「憲法を改正して長期に居座ろうとしている」などと攻撃し、サラ氏も同年11月に「私が殺されたら、大統領夫妻とロムアルデス議長を殺すよう、すでに手配している」と発言し、対立は抜き差しならぬものになった。

サラ氏が前回大統領選への出馬を見送ったのは、40歳代前半という若さや中央政界での経験不足、親子で最高権力を移譲することへの反発を警戒したことなどが考えられる。だが今となって「覆水盆に返らず」を悔いているのは間違いない。

2024年11月30日、前回の大統領選について「世論調査では勝っており、すでに私のものだった。国民は私の下で結束していた」と恨み節を述べている。

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