フィリピン副大統領が下院で弾劾!失職の危機に  次期大統領選の有力候補、現職は妻との間で板挟み

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これまでのところ、国家権力を握るマルコス側が優勢で、ドゥテルテ陣営は守勢に回っているように見える。サラ氏の弾劾のほか、現政権は前大統領への捜査というカードを握っているからだ。

前政権が進めた「麻薬撲滅戦争」で、司法手続きを経ない超法規的殺人が繰り返されたことに対して国際刑事裁判所(ICC)が「人道に対する罪」などで捜査を進めているほか、国内でも司法当局が調べを始めている。

マルコス政権が握る「ICCカード」

政権がICCの捜査に協力するか、インターポールを通じてICCの指名手配書が届けばこれに応じるか、はたまた国内の捜査当局が訴追に動くか。いくつかの選択肢がある。いずれもターゲットとなる前大統領としては受け入れがたいシナリオだ。

ドゥテルテ陣営にとって逆風はもう1つある。2年ほど前まで圧倒的だったサラ氏の人気が、この1年で大きく陰っていることだ。

フィリピン大学などの研究グループ「OCTAリサーチ」の世論調査で2024年3月、マルコス氏に対する支持率が65%に対して、サラ氏は前期から11ポイントマイナスとなる64%となり、正副大統領選前から一貫してマルコス氏を上回ってきたサラ氏の支持率が初めて逆転した。

さらに2024年9月期の調査では両者の差は14ポイントに、同年12月期は16ポイントに広がった。現政権に対するサラ氏や前大統領の、ときに常軌を逸した罵詈雑言がマイナスの影響を与えているとみられる。

ドゥテルテ家の地盤である南部ミンダナオ島でこそ、マルコス氏を上回る支持を保っているが、弾劾訴追の動議では、ミンダナオ選出の下院議員60人のうち41人が署名しており、勢力が盤石とは言えなくなっている。

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