経済産業省が出している最新の数字は2023年のデータだが、キャッシュレス決済比率は39.3%でほぼ40%といっていい。そこから推測するに2024年には着実に40%を超えているだろうから、政府目標は達成したと言ってよさそうだ。政府目標と聞くと、なにやら夢物語めいた願望のイメージだが、無事に達成しかも前倒しでできたとはまさに快挙である。
東京オリンピックと大阪万博にロックオンだった
政府はなぜ、2025年までにキャッシュレス化を進めたかったのか。理由の1つは、東京オリンピック・パラリンピックと、前述の2025年の大阪・関西万博の開催だろう。
当時から政府には、日本に外国人を呼び込み、観光立国を目指すとの狙いがあった。国際イベントを起爆剤に訪日客を増やしたい。そして彼らにどんどん「爆買い」してほしい。その利便性を高めるためにも、キャッシュレス対応可能な店舗を増やす必要があった。
同時並行で、我々庶民へのキャッシュレス推奨策も進められた。2019年に消費税10%対策として行われた「キャッシュレス・ポイント還元事業」や、2020年のマイナポイント事業は記憶に新しい。国の予算を使ってまでポイントをばらまいた結果、2020年には29.7%までキャッシュレス決済比率が上がった。
しかし、キャッシュレス化で観光立国を目指すという目論見は、いきなり躓いた。想定外だった新型コロナ禍により、海外からの入国制限を余儀なくされたからだ。訪日外国人を呼び込むという当ては外れたものの、新型コロナがキャッシュレス化に弾みをつけることになったのは皮肉だ。
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