キャッシュレス決済「4割達成」の後に来る新世界 2025年の達成確実、次はいったいどこへ向かうのか

✎ 1〜 ✎ 107 ✎ 108 ✎ 109 ✎ 110
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

片や、クレジットカードにも変化が起きている。各カード会社は、かざすだけで決済できるタッチ決済・コンタクトレス決済対応カードへの切り替えを進めているところだ。コンビニなどの小売り店舗だけでなく、電車やバスでタッチ決済乗車を導入する交通機関が急激に増えている。

少額決済でいちいち暗証番号を入力するのは面倒と、これまで日常的な使われ方は少なかったが、タッチ決済普及によりカードの出番が増えている。コード決済とクレジットカードは、お互いの陣地を削り合っているという状況だ。

キャッシュレスが生み出した”影”

決済比率とともに、増加し続けているもう1つの数字がある。キャッシュレス決済を狙った不正利用の被害額だ。

2018年にはPayPay、2019年にはセブンペイ、2020年にはドコモ口座を悪用した不正利用が発覚、社会的な関心を集めた。クレジットカードの情報を抜き取るフィッシングメールの件数も毎年うなぎ上りで、2024年は過去最多となっている。AIが悪用されているのか手口は巧妙化する一方で、日本クレジット協会の調査によると2023年のカード不正利用被害額は過去最高の540.9億円となったという。

そのせいでキャッシュレスは怖いから使いたくないと考える人も一定数いる。政府が次の目標として80%を目指すというなら、その不安をどう取り除けるかがカギとなるだろう。

カード各社は決済時にワンタイムパスワードや生体認証を求めるなどのセキュリティ対策を進めているが、不正利用を100%排除することは難しい。

不正利用にあってしまうケースを想定して、カードの利用額を最小限にしておく、ほとんど利用していないカードは解約するなど、保有者側に防衛手段を取るよう啓蒙し続けることが欠かせない。不幸にも被害にあったとき、カード会社が速やかな対応をしているか、適切な補償体制が守られているか、その監視・指導も国側にしっかりやってもらいたい。

キャッシュレス比率40%という明るい面に浮かれることなく、影の部分にこそしっかり取り組んでほしい。

この連載の記事一覧はこちら
松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事