片や、クレジットカードにも変化が起きている。各カード会社は、かざすだけで決済できるタッチ決済・コンタクトレス決済対応カードへの切り替えを進めているところだ。コンビニなどの小売り店舗だけでなく、電車やバスでタッチ決済乗車を導入する交通機関が急激に増えている。
少額決済でいちいち暗証番号を入力するのは面倒と、これまで日常的な使われ方は少なかったが、タッチ決済普及によりカードの出番が増えている。コード決済とクレジットカードは、お互いの陣地を削り合っているという状況だ。
キャッシュレスが生み出した”影”
決済比率とともに、増加し続けているもう1つの数字がある。キャッシュレス決済を狙った不正利用の被害額だ。
2018年にはPayPay、2019年にはセブンペイ、2020年にはドコモ口座を悪用した不正利用が発覚、社会的な関心を集めた。クレジットカードの情報を抜き取るフィッシングメールの件数も毎年うなぎ上りで、2024年は過去最多となっている。AIが悪用されているのか手口は巧妙化する一方で、日本クレジット協会の調査によると2023年のカード不正利用被害額は過去最高の540.9億円となったという。
そのせいでキャッシュレスは怖いから使いたくないと考える人も一定数いる。政府が次の目標として80%を目指すというなら、その不安をどう取り除けるかがカギとなるだろう。
カード各社は決済時にワンタイムパスワードや生体認証を求めるなどのセキュリティ対策を進めているが、不正利用を100%排除することは難しい。
不正利用にあってしまうケースを想定して、カードの利用額を最小限にしておく、ほとんど利用していないカードは解約するなど、保有者側に防衛手段を取るよう啓蒙し続けることが欠かせない。不幸にも被害にあったとき、カード会社が速やかな対応をしているか、適切な補償体制が守られているか、その監視・指導も国側にしっかりやってもらいたい。
キャッシュレス比率40%という明るい面に浮かれることなく、影の部分にこそしっかり取り組んでほしい。
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