過熱する「フジのアナ報道」鵜呑みにする"危うさ" 世間のイメージとのギャップに局アナたちも苦悩

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ジャニーズ事務所の性加害騒動で所属タレントたちがそうだったように、悔しさや悲しさを抑えるように働いている様子がうかがえますし、被害者の可能性がある人々を過剰に追求することは避けたいところです。

さらに「上納されている」という目線で見ること自体、ハラスメントに見える感もありますし、本人たちに失礼でしょう。「アイドルのような扱いをしてきたテレビ局側が悪いじゃないか」という声もありますが、前提として民放のアナウンサーという職業に対する世間の不理解が感じられます。

アナウンサーと取材や雑談で話をしていると、ほとんどの人が「拍子抜けするくらい普通の人」と感じますし、どちらかといえば地味な印象すら受けることもあります。

ただ、カメラが回りはじめるとさすが専門家であり、芸能人のような華を感じて、「他にはない立ち位置の職業だな」と思わされる機会も多々ありました。ほとんどの人が浮かれたところはなく、むしろ謙虚であり、「私たちは会社員」という意識を感じさせられます。

しかし同時に、「世間の会社員とは違うところがある」という意識があるのも確かでしょう。世間の会社員と同じ感覚を持つ一方で、自分の顔と名前を知る人々が多いため、カメラが回っていないときも「見られている」という意識を持たなければいけない難しさを語る人もいました。

「ニュースだけ読めばいい」の暴論

番組やアナウンス室などのYouTubeチャンネルに出演したり、個人SNSでの発信を求められたり、アナウンサーのカレンダーを発売したりなど、芸能人同様の仕事が多いことも、その難しい立ち位置を象徴しています。

フジテレビに対する批判が過熱する中、その怒りが飛び火するように「なぜ女性社員をカレンダーにするのか」「女性アナウンサーだけ芸能人扱いするのはおかしい」などの批判があがっていました。

しかし、これは「世間のニーズがあるから」「それを楽しみにしている人が一定数いるから」にすぎません。本人たちの許諾こそ必要ですが、民放各局が営利企業である以上、ある程度は認めるべきことに見えますし、フジテレビの疑惑やガバナンスの問題などとは無関係でしょう。

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