「松平定信が激怒した」江戸の創作者の悲惨な最期 重三郎とも仕事をした喜三二と春町だったが

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天明7(1787)年に老中首座となり、これから政策を推進していこうとした定信からすれば、出ばなをくじかれたような思いがしたことだろう。両作品とも武芸と学問を奨励した自身の政策をからかったもので、黙ってはいられなかったようだ。

春町の悲惨な最期

喜三二は戯作の執筆を禁じられてしまい、春町は定信から出頭を命じられた。出頭には応じなかった春町だが、数カ月後に死去。死の原因はよくわかっていないが、主人に迷惑をかけるのを恐れて自殺したともいわれている。

人気作家の二人の作品を出せなくなったうえに、寛政2(1790)年には「出版統制令」も発布されて、追い詰められた重三郎。なんとか活路を見いだそうとして始めたのが「浮世絵の出版」だった。

【参考文献】
鈴木俊幸『蔦屋重三郎』 (平凡社新書)
鈴木俊幸監修『蔦屋重三郎 時代を変えた江戸の本屋』(平凡社)
倉本初夫『探訪・蔦屋重三郎 天明文化をリードした出版人』(れんが書房新社)
後藤一朗『田沼意次 その虚実』(清水書院)
藤田覚『田沼意次 御不審を蒙ること、身に覚えなし』(ミネルヴァ書房)
真山知幸『なにかと人間くさい徳川将軍』(彩図社)

真山 知幸 著述家

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は 『偉人メシ伝』 『あの偉人は、人生の壁をどう乗り越えてきたのか』 『日本史の13人の怖いお母さん』『逃げまくった文豪たち 嫌なことがあったら逃げたらいいよ』(実務教育出版)。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/
 

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