下水道管の劣化や破損を早期に発見するために、センサー、ドローン、AI(人工知能)などの最新技術が活用され始めている。これにより、下水道管の状態を定期的に監視し、問題が発生しそうな箇所を的確に特定することが可能になる。たとえば、AIは過去のデータから劣化が進みやすい場所を予測することができ、事故が起きる前に対策を講じることができる。
工事を効率化するために注目されているのが、「非開削工法」だ。これは、道路を大規模に掘り返すことなく下水道管を補修できる。たとえば、CIPP工法(現場内硬化工法)は、古い下水道管の内側に樹脂を含んだライナー(柔らかい布状の材料)を入れ、熱や紫外線で硬化させることで、新しい管を既存の管の中に作る。
また、SPR工法(スパイラル工法)は、硬質塩化ビニル製の材料を既存の管の内側にスパイラル状に形成し、その隙間に裏込め材を注入することで、既存管と一体化した強固な新しい管を作る。そのほかにもさまざまな方法があり、工事期間の短縮やコストの削減にも効果がある。
下水道担当職員の数は24年で約2万人減った
老朽化が進めば進むほど、点検や調査の重要性が叫ばれるだろう。しかし、現実には多くの自治体が人手不足と予算不足に直面しており、「5年に1回」とする法定以上の点検は難しい。
下水道担当職員の不足を指摘する声もある。当該職員の数は1997年度の約4万7000人から、2021年度には約2万6900人に減少している。この間、経費削減や組織の合理化が進められてきたが、それが点検や維持管理の遅れを招いている。
国土交通省は、官民連携(PPP)の推進を通じて下水道事業の効率化を図っている。しかし、民間企業側でも技術者不足が深刻であり、すべての課題を解決することは難しいのが現状だ。
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