「日本の下水道管」を劣化させている6つの要素 埼玉県八潮の事故はまったく他人事ではない

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今回の現場では、下水道管の上部に位置する雨水管が破損し、水が漏れた。下水道には雨水と生活排水を一緒に流すか、分けて流すかで2つの方式がある

一緒に流す合流式は、
・下水道が1本ですむので建設・維持管理費が少ない
・他の地下埋設物との競合も少なめ
・管径が大きく勾配が小さいため汚物が管内に堆積しやすい
・対応できる流量を超えると、未処理のまま河川などに放流される。そのため水質汚濁を招く可能性がある
――という特徴がある。

もう一方の分流式は、
・2本の管路が必要で建設・維持管理費が高い
・他の地下埋設物と競合が多め
・汚水は下水処理場で処理されるので河川や海への流出はない
――という特徴がある。

今回の場合、分流式を採用しており、破損した下水道管の上部に設置されている雨水管も破損し、そこからの水が事故をよりやっかいなものにした。分流だからこそ水が汚れやすく(雨で薄まらない)、硫化水素が発生しやすいという声もある。

気候変動で下水道にかかる負荷も増加

⑥気候変動による影響

近年、集中豪雨や台風の増加により下水道にかかる負荷が増加。水圧が異常に高まることで管の継ぎ目から漏水や破損が発生する。また、気温変化による管路への影響も注目されている。

株式会社天地人の提供する「宇宙水道局」は人工衛星から地中にある水道管の劣化を診断するが、その際のポイントの1つが地表温度である。熱は地下の水道管まで到達し、劣化を進めているという。

水道管の老朽化や破損を防ぐために、現在さまざまな対策が取られている。主な取り組みは、点検・調査の強化と効率的な工事技術の活用である。

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