若手と企業が考える「安定している」の意味は違う そもそも「今どきの若者はすぐ辞める」も間違い
最近では、文系未経験からシステムエンジニア(SE)に就職する例も多く、インタビューでも多く出会います。SEの需要が大きいという事情もありますが、文系未経験からSEになる方の多くが「SEとして手に職をつけておけば、将来困らない気がしたからSEになった」という趣旨のことを話します。
ほかにも、営業職からSEへ転職した方、プログラミングスクールに通ってみたけど挫折し、事務職で転職を目指した方などもいますが、ほとんどが同じような理由です。
早期離職率についてのクイズ
会社の安定ではなく自身のキャリアの安定を求めていると書くと、今の若者はいかにも利己的で、会社への帰属意識が低く忠誠心がないようにも聞こえるかもしれません。
また、若者の気質の変化によって、会社への帰属意識が以前より低くなったのであれば、若手社員が転職していくのは仕方ないように思う方も多いでしょう。
でも、ちょっと待ってください。今どきの若者は、昔に比べて辞めるようになっているわけではありません。少なくともここ20年で見れば、若手社員が昔よりも辞めるようになったという事実はないのです。
私は離職対策に関する講演、研修などを年間で計100本以上おこなっています。内容は講演や研修の目的によっても異なりますが、若手社員の離職対策がテーマの場合、冒頭でこんなクイズを出しています。
「大卒の新卒入社3年以内の離職率(早期離職率)は、20年前に比べて10ポイント以上上がっている。マルかバツか」
みなさんはどう思いますか?
これまで数多くの企業、団体で同じ質問をしてきましたが、おおむね70~80%の方が「マル」と回答します。つまり、20年前に比べ、今の若手の離職率が高いと思っている人が圧倒的に多いのです。
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