ビジネスで必要条件と十分条件を使いこなす方法 論理的に見えて実はそうではない意思決定をしないために
これは、多くの人が無意識に行っていることだと思いますが、「あ、必要条件を使っているな」と意識することが重要です。そうすれば、たとえば次のような効率の悪い会議をせずに済みます。
社員A「今度の新製品のアイデアですが、私は競合他社の製品を徹底的に調査しました。その結果わかったことは……(この後約2分続く)」
上司 「よく調べてあるな。ところで、製品化になったとしたら小売価格は700円以下に抑えたいのだが、それは大丈夫か?」
社員A「どんなに切り詰めても1000円程度にはなるかと……」
社員B「私は現代の若者のニーズである『等身大』をキーワードにして考えてまいりました。今どきの若者は……(この後約3分続く)」
上司 「そうか。よくわかった。ただ、今回の新製品は年内発売を目指している。それは可能かな?」
社員B「こちらの商品化は、早くても年明けの3月になります……」
もうおわかりですね。そうです。この上司は新製品が満たすべき最低限の必要条件を、後から部下に提示しています。これが、会議の効率が悪くなっている原因です。
本来であれば、「希望小売価格は700円以下で、年内に製品化が可能なものを考えてくれ」と最初に必要条件を提示するべきなのです。そうして、あらかじめ考える範囲を狭めておけば、部下も考えやすくなりますし、会議には新製品の必要条件を満たすアイデアだけが出てくるはずですから、せっかく考えたものが無駄になることもありません。
命題とその真偽
数学では、真偽(正しいか正しくないか)を客観的に判断できる事柄を命題と言います。
「富士山は世界一高い山である」は、間違っています(偽です)が、客観的に真偽が判定できるので命題です。一方、「富士山は美しい山である」は、美しいかどうかは主観的な判断であり、客観的には真偽が判定できないので命題ではありません。
一般に、命題「Pならば(⇒)Q」において、P(仮定)は満たすけれど、Q(結論)に当てはまらない例のことを反例と言います。
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