貧困で「わずか13歳の少年」が売買される国の事情 日本の野球ファンは知らない、ドミニカ野球の現実

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ドミニカ共和国では、少年たちが、国内で生活していたら決して手に入れることのできない大金に変わる可能性があるのだ。

だからこそ、少年たちが”売買”されることは日常なのだ。

“値付け”される少年たち

ここで、ドミニカの野球界について、ざっくりと説明したい。

高校や大学、社会人などプロを目指す場所の選択肢が色々ある日本と違って、ドミニカでは「アカデミー」が野球教育の中心だ。その名の通り、野球選手を育成するための場所だ。

①メジャーの下部組織としてのアカデミー

アカデミーの種類は大きく分けて2つある。1つ目は「メジャーの下部組織」だ。2つ目は「メジャーの下部組織との契約を目指すアカデミー」だ。

一般に日本の野球ファンが想像するアカデミーは、1つ目のメジャーリーグの下部組織としてのアカデミーだろう。MLBの各球団が投資をして、ドミニカ国内に作った野球学校だ。

やや語弊があるかもしれないが、日本人にわかりやすく表現すると「外資系のエリート養成校」という感じだろうか。

②ワンランク下の、①のアカデミーへの移籍を目指すアカデミー

2つ目のアカデミーは、①のアカデミーよりワンランク下のアカデミーだ。選手たちは①のアカデミーへの移籍を目指して、日々しのぎを削っている。

アカデミーと言うと学校のように思えるかもしれないが、移籍がある以上、そこには“金のやり取り”が発生する。①のアカデミーに所属する際に、高い選手で数億円にも及ぶ契約金が発生するのだが、そのおよそ半額以上をアカデミーが受け取る慣習があるのだ。

ドミニカの野球場
こちらは②のアカデミーの様子。ドミニカ国内でも2軍的なポジションだが、それでも環境は充実しているのだ(筆者撮影)
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